主婦が婦人科がんになるということ:40歳代で婦人科がんの手術を受けたAさんの語りから (1)

 乳がんや婦人科がんで生じるリンパ浮腫のケアをする、あるいはその予防をする必要のある方々の集い「ベニバナの会」を通して、私たちはいろいろな方々から病いの体験を教えていただいています。

 今回、婦人科がんの手術を受けて10年近くになるAさんの病いの語りをご紹介したいと思います。

 主婦ががんになることで生じたいろいろな思い、体験、医療者への要望について、皆様と共有して、お互いに今より少しでも良い時間を過ごすことができればという、Aさんの願いが背景にあります。


 

 Aさんの語りの内容をシリーズにして、このページに掲載致します。なお、ホームページ掲載については、Aさんのご承諾をいただいております。

 

1.自分の病気より家族を優先する

 

 がんがどういう状態でこういう手術をするっていう説明は、多分一通り説明してくれてはいたけれども、自分自身できちんと呑み込めなくて。今みたいなセカンドオピニオンという知識も私には全くなかったから。自分のことよりも自分が入院していない間の家の中のこととか、家族のこととかの方ばかり気になって、もう本当に自分の病気のことについて調べる暇がないというか。初めて〇〇病院へ行って内診台の上に上がって診察してもらった時点で、もう悪いものですねって言われて、本当に自分の病気を自分が飲み込む前にもう入院手術の日にちがあっという間に決まっちゃって。私出産以外入院したことがないんですよ。で、入院って長い間入院することにも慣れないし、術後どういうふうになるのかも全然わからないし。

 

 手術の空きができたから、〇月〇日に入院しましょうって言われて、もう2週間もないんですよね。そうなると、ほんとに病気と無縁だった私は、まず家族のことを先に考えて、私のいない間のことを考えて、それから入院しないと。どこかほかの病院に行って、違う診断をあれ(セカンドオピニオン)してっていう暇がない。子供3人いるけどみんな学校に行っているから、そっちの予定も立てなきゃいけないし。

 

 (病院の選択について)夫と3人の子供たちみんなが必ず通るところって、〇〇駅だったんですよ。私に万が一のことがあって入院が長引くようなことがあっても、家族が来れそうな病院、バス1本、電車1本、あるいは勤務の後に寄れるところは〇〇駅しかなかったんです。その周辺で調べたら〇〇病院だった。大学病院とかちょっと離れた婦人科の名のある先生のところより、私は一番にそっちを選んだんです。入院が長引いたりすると、ただでさえ入院することによって家族に負担をかけるのに、これ以上なんだかんだって負担をかけちゃいけないと思って。

 

 

(2)につづく。