主婦が婦人科がんになるということ:40歳代で婦人科がんの手術を受けたAさんの語りから (3)

3.排尿障害への対応に悩む

 

 

1)手術で生じた排尿障害との遭遇

 

 (手術後)おしっこの管が抜けるのも遅く、抜けた後は尿意があるけど出ない。そのうちお腹はパンパンになって、通る看護師さんにおしっこ出てなくてお腹が痛いと訴えても、私今日担当じゃないからとか、ちょっと待ってね、今違う人に言うからねっていって誰も見てくれない。午前中に尿管を抜いて、1回お手洗いに行ったきり、夜9時の消灯を迎えるまえで1回もおしっこ出なくて。夜勤の看護師に言って処置室で相当な量のおしっこが出て、一番大きなカップが満杯になって、今2つ目取り替えるからって声が聞こえていた。それからは排尿障害との戦い。他の方が言うようなまったく出なくて自己導尿して出すっていうんじゃなくて、私の場合は尿意があっても出ない。泌尿器科にかかったら、膀胱の筋肉の働きをよくするすごく大きな薬を飲まされて、まだ若いし尿意があるからもしかしたら自分で排尿できるかもしれないって言われて、その薬を一生懸命飲んでいた。

 

 (薬効は)きっとあったのでしょうが、でも辛いですよね。踏ん張らないとおしっこが出ないし、いつまでもダラダラ出る感じで、最後まで出すにはまた踏ん張んなきゃいけなくて、こんな出し方でいいのかなと思いつつ。

 

 (術前に排尿障害についての説明は)無かった。大分元気になって、化学療法も終わり落ち着いたころに排尿障害がまだあることを定期受診の時に先生に言ったら、いや、どっちかだったんだって。排尿をつかさどる神経に腫瘍が巻き付いていたから神経を残そうと思うと腫瘍が残るし、腫瘍をきれいに取れば神経を傷つける。究極の選択で神経を傷つけてまでも腫瘍をきちんと取ろうということで取ったって。1年、2年くらい経ってからですよね。担当医から説明があったのも。で、2年半くらい経った頃から足がなんか、太ももの付け根が浮腫むようになって先生に言ったら、リンパ浮腫発症しちゃったんだねって言われた。

 

 

2)排尿障害への対応の違いで辛い思いをした患者会

 

 で、排尿障害もまだあるしということで、ちょっと患者会に行ってちょっと話を聞いてみようかなと思って行ったら、(患者から)そんなおしっこの出し方したらダメだよ、おしっこなんて踏ん張って出すものじゃないんだよってみんなに言われて。えっ?こっちの〇〇病院の泌尿器科の先生は尿意があるなら踏ん張ってでも出した方が自己導尿するより神経の回復が早いと言われて、それで出しているのに、なんでこっちに来ては出しちゃダメって言われるのかなって。ちゃんと自己導尿しないとだめだよって言う人たちを診た先生方がそういうふうに言っているみたいで。私そうやってまた泣きながら帰ってきたんですよね。なんでこんなに私みんなに責められなきゃいけないんだろうと思って。責められに行ったんじゃなくて、このまま薬を服用していてもいいものかどうか、私と同じような体験をしている人が患者会、婦人科がんの患者会だからいるのかなと思って行ったら、みんな排尿障害がある人は夜は自分で尿パックにつないで寝るっていう方たちばかりで、私と違う。土曜日に患者会があって泣きながら帰ってきて、月曜日にすぐに〇〇病院の泌尿器科に電話をしたら、泌尿器科の看護師さんがすごく優しくて、1回ちょっとお話を聞いてあげるから、何時に空きがあるからいらっしゃいって言って。で先生の前で、(患者会で)こういう相談したらこういうふうに言われたと説明をしたら、おしっこの出し方なんて十人十色なんだからみんなのいうことを真に受けて落ち込んでたら駄目だよって言ってくれた。本当に10人いれば10人の出し方があって、これが正解、これがダメっていう事がないんだから大丈夫と励まされて帰ってきたんですよね。いまだに排尿障害はあります。

 

 (排尿は努力して出していたが)便器に腰かけると自然に出るようになって、最後きちんと出すにはちょっと腹圧かけてやらないと出ないけれど、だいぶ良くなりました。

 

 

3)遠出のときに気を遣うトイレ時間

 

 でも長時間座っていると、特に乗り物に長時間乗っていると、尿意を感じないんですよね。で、すっきり出ないし、それで膀胱炎を繰り返しちゃうというか。(車で遠出した時は)尿意を感じなくても出さなきゃと思って便器に腰かけるんだけど結局出ないから、まあいいやと思っているうちに、自宅に帰ってきてなんか変だなと思って行くと膀胱炎になって。(夫を)待たせちゃいけないと思って、夫はゆっくりって言ってくれるけど、忙しい仕事の合間を縫って時間を作って父のところへ行ったり、亡くなったといえば仕事の段取りつけて行ってくれたりするから、気を使っちゃってトイレゆっくりできないというか。

 

 

(4)につづく。