主婦が婦人科がんになるということ:40歳代で婦人科がんの手術を受けたAさんの語りから (6)後編

6.弾性ストッキングを履き続けることの苦しさ(その2)

 

 

4)皮膚が擦れる

 

 (弾性ストッキングは)皮膚にも負担がかかって、擦られて焼けた感じになる。なんでそんなところ擦り傷あるんだろう。なんでここかゆくなるんだろうって考えたら、あの時脱ぐ時に擦れたなって。たとえ家族であろうと夫であろうと言葉で言うのが難しいから、(頼まないで)自分でちょっとずつちょっとずつ下げていくしかないなって。新しいストッキングを着用して、2か月半とか3ケ月過ぎてくると全体的に劣化してくるから引っ張ってって言って足を出せるけど。

 

 一昨年の夏だったかな?ストッキング履いている全体にあせもが出来ちゃって、ひざ裏がとてもかゆくて掻き崩してしまったんですよ。あせもがただれたみたいな感じになって、皮膚科の先生は、(私が)頸癌で浮腫を発症してストッキング履いてるのを知っていて、軟膏と飲み薬を出されたんです。

 

 

5)こんなものがあればいい

 

 夜寝る前に、金具というかそういうものにストッキングをはめといて、朝起きたらそーっと足を入れて、その機械を抜くとぴったり合うようなそういうものがあればいいと思う。

 

 金具とかがないにしても、私みたいに見るからに浮腫という足じゃなくても、軽く巻けるような、バンテージみたいなものがあればいいなって思う。サポーターみたいなものでもいいし、指に負担がかからず、痛い指でもシュルシュルと履けたり、伸縮包帯のようなクルクル巻き上げていけばストッキング履いているときと同じ圧迫がかかって浮腫がひどくならないものがあればいいんじゃないかなって思うんですよね。

 

 (保険適用で買える包帯とは)違ったかたちの包帯ですよね。少々指が痛くても包帯だったら巻き上げていくだけだから楽だろうと私は思います。

 

 

6)手間のかかるストッキングの手入れ

 

 (ストッキングは)洗濯機かけられないし、おしゃれ着洗剤でも使えないし、柔軟剤使えないし、もう手洗いと押し洗い。洗った後はバスタオルに包んで包んで手で叩いて、それで干す。でも私みたいに指が痛いと洗うのもままならない。

 

 (塗った軟膏が)ストッキングに付いちゃって、ついたところからストッキングが劣化してくるんですよ。如何せんゴムだから。べとべとした感じの軟膏だとストッキングに付いた軟膏が落ちないんですよ。そうすると変なシミになって残るんですよ。夏だからストッキング1枚履いて、スカートなり履くじゃないですか、7分丈の半ズボンとか。そうするとシミだけがポコンと目立つんですよ。何汚れたストッキング履いているのって言われたことがあって、これまた説明するのも面倒くさいなと。

 

 

7)保険適用範囲の「半年で2足のストッキング」では生活できない

 

 私より浮腫が酷くて、包帯を巻いてスポンジみたいなのをあてて、ウレタンみたいのをあてて、それから幅の広い包帯を巻いている方も、バンテージ類っていうのを半年に1組しか買えない。ここもまたおかしいですよね。普通に巻く包帯と、その上に巻く脱脂綿みたいなのと、ウレタンと、幅の広い包帯とで1セットで、半年に1回1セットしか買えない。その方はストッキングも必要なので、半年に1回バンテージを買って、半年に1回ストッキングを買うんです。ストッキングとかバンテージが半年に1セット。ストッキングだったら2足。スリーブとかグローブ類だったら2セット。なんでそれしか買えないの。

 

 ハイ、あなたは明日から出張です。わかりました、出張に行きます、でも私にはパンツが2枚しかない。今履いているのを1枚と、今朝洗ってきて部屋に干してある1枚のパンツしかないって。あなた2枚のパンツで何日も回せますかって。

 

 もうちょっと保険適用の範囲をスリーブ、グローブ、バンテージ、ストッキング類に関して広げて欲しいんですよね。

 

 私、〇区の〇〇さんという男の市議さんにも言ったことがあるんですよ。もうちょっと保険適用の範囲を広げて欲しいって。で、2000年にストッキングやスリーブ類がやっと保険適用になったばかりで多分通らないって言われたんですけど、2足で回せない。無理です。どんなに丁寧に扱っても2ケ月持つか持たないか。如何せんゴムだから伸びる。

 

 これが3足とか、3セットとかあれば今洗えないけど痛みが引いたときにまとめて洗おうとかってことが出来るわけですよ。

 

 リンパ浮腫を発症している患者に限って3セットまで保険適用で買えるようにしてほしい。乳がんでリンパ節を取って浮腫を発症している人も、片腕だけのスリーブやグローブもふた替えっていうか、着用の他にもう一つしか買えない。そうじゃなくてそういう人も3セットまで。浮腫がひどくてバンテージしかしてない人も、2セットあれば楽だよねって。

 

 

8)同じ社会保険事務所なのに場所によって対応が全然違う

 

 最初は実費で払って申請して7割戻ってくる、これも手間なんですよね。で、払った時の領収書をもって区役所や社会保険の事務所に行って申請するんです。医者に着衣証明書と診断書との2枚を書いてもらって、領収書と、向こうにある書類に何年何月にこういう手術を受けて、リンパ浮腫を発症して必要だというのを自分で申請書に書かなきゃいけない。自宅から行って半日つぶれちゃう。札幌駅の北口にある直接社会保険組合の中に入っているところでも受け付けてくれるって教えてくれて最近はそこに行っていますけど。

そこへ行くと1回1回来るのが大変だから、ここに郵送で82円の切手を貼って、封筒に入れて送ってって教えてくれて、来れないときは送ってくれたので間違いなくちゃんと申請して出すからと言ってくれて。でも〇区の社会保険事務所では送ってくださいとは一言も言わなくて、一応申請出しますけど決定するかどうかわかりませんと言われるんです。札幌駅の方にあるところでは、きちんと申請出しますから大丈夫ですよ通りますよって言ってくれるんですよね。同じ社会保険事務所なのにどうしてこうも対応が違うのって。同じ交通費をかけていくんだったらこっちの方に来ちゃいますよね。暑い中ご苦労様ですって言ってくれるし。申請に行く時期が2月だったりすると、今日は道滑りませんでしたか、寒い中ご苦労様、これからは送ってくださいねって言ってくださいますし。

 

 

 

(8)へつづく。