主婦が婦人科がんになるということ:40歳代で婦人科がんの手術を受けたAさんの語りから (10)

10.もうちょっと話を聞いて欲しい、教えて欲しい

 

 

1)指の関節が痛くなった原因のリンパ浮腫には関心のない整形外科医

 

 万が一リウマチだったら困ると思ってリウマチ科のある病院に行って検査して診てもらったら、「今のところリウマチじゃなく、変形性関節症で間違いないです」と。で、「指先を使うような仕事をしていましたか」って聞かれて、「特にはしてないけど、ただリンパ浮腫を発症して」ってそこまで言ったら、「いや、そういうことは聞いてない」って。「いや、先生違うんですよ、リンパ浮腫を発症して」って私がまた同じことを言おうとしたら、「いや、それは聞いてない。がんのことに関して僕は専門外だし、聞く必要がないから」って。「いや、きついストッキングをね」って私が言い出したら、横にいた看護師さんが、「心療内科に行かれたらどうですか」って。話しているうちに更年期障害があるし、真夏だったので汗が出てくるんです。自分の言いたいことを途中で遮られてしまうとどうしたらいいかわかんなくて、誰に言ったらわかってもらえるんだろうと焦っちゃうと汗出てきちゃって。その汗を拭きながら、「先生」って話そうとしたら、看護師さんから「心療内科紹介しますよ」って言われて、その看護師さんとやり取りをしているうちに、「痛い時は痛み止め飲んで逃してください、それしか治療の方法がありませんから」と言われて。私、精神病んでるの? 問診票に2008年にこういう手術を受けて、リンパ浮腫を発症して弾性ストッキング着用って、関節が痛いものですから字が汚いんですけど、ちゃんと問診票に書いているのにどうしてこの先生はわかってくれないんだろうと思って。こんな思いしているの、私だけかな。

 

 子宮頸がんっていう病気の名前に甘えているつもりもないし、がんだからって威張って生活をしているわけではないです。もうちょっと配慮してほしいなって。「僕外科だから」「僕内科だから」ってそうやって自分の専門分野ばかりじゃなくて、いろんな患者さんが来るんだから話を聞いてほしいなって。パソコンの画面を見ながら私の言っていること入力するばかりじゃなくて、もうちょっと話を聞いてほしい。そんなこと思っているせいか、心療内科いかれたほうがって言われちゃうんでしょうね。

 

 

2)私の気持ちをわかろうとしない医師には「ハイ元気です、先生」と嘘を言う

 

 入院したときは「手術できれいに取り切れる自信があるので、おそらく2週間で退院できます」って言われて、そのあと抗がん剤に入るもの聞かされてなかった。私リンパ節取ったのも知らなかったんです。で、浮腫を発症した後、「先生、今だから聞くんですけど、リンパ節っていったい両方に何個あって、何個取ったんですか」って質問したんです。自分の体のことだし、知りたい。その時に医者の言った言葉が、「そんなこと知ってどうするの?」「悪いと思われるリンパ節は皆取ったよ。何個あって何個取ったかなんて知ってどうするの。生きて生活できているんだからいいでしょ。」って言われました。いや、そうですけどね、でも知りたいじゃないですか。片方には何個、片方には何個あってあなたの場合、ここまで悪くなってたから左はほとんどとって、右は10なん個取ったって知りたいじゃないですか。だから(今)、腫瘍マーカーの検査、CTとか検査を受けて、結果が出る1週間後聞きに行って、その先生に「どうだい?調子」って言われるときは、「元気です」って答えるんです。この先生に何を言っても無駄だなと思って。まだ痺れがあるといっても、「それはもう死ぬまで治らないね」って言われたり。言うだけ無駄じゃないですか。「効かないけど漢方飲んでみるかい」って言われたら、「効かないなら出すなよ」って言葉悪いけどそう言いたくなっちゃいますよね。だからその先生の前に座って、「どうだい?調子」って言われたら、ニコニコしてばっちり化粧もしていって、「ハイ元気です先生」って。このあと私ヨガに行くとか、映画見に行くとか言って、絶対調子が悪いこと言いませんもん。言っちゃいけないんだなって。「それだけ元気だったらいいよね。マーカーの数値も異常ないし、今のところCTも問題ないから、じゃ1年後ね。」って言われて、「はい、ありがとうございました」って言って帰ってくるんです。

「浮腫は?」

「浮腫は違う病院で診てもらっていますから。ちゃんとストッキングは履いていますよ。ほんとはね、先生のところで浮腫診てくれると一番いいんですけどね。手術の内容もわかっているし、どういう状況でリンパ節を取っているのもわかっているし。」って言うんですよ、私。「いやーうちね、浮腫見れないからね」って。「いいんです、だから違う病院で診てもらっていますから。」それがほんとのところです。

 

 

(11)へつづく。