主婦が婦人科がんになるということ:40歳代で婦人科がんの手術を受けたAさんの語りから (12)

12.はっきりしない見通しの治療に、いったいいくらかかるのだろう

 

 今は2週間もあれば、セカンドオピニオン取れるっていう話を聞くけれど、当時はセカンドオピニオンの「セ」の字もなかった。セカンドオピニオンも30分につき6000円とか、延長するごとに2000円追加とかいう話を聞いたら、とてもそんなお金出せないですよね。お金のかかる子供たちも抱えているし、多分、皆さん私の年代だと、マンションや家を購入されていれば、住宅ローンも払っていかなければならないし、やりくりのことを考えちゃいますよね、一番にね。で、がんの手術はいくらお金かかるんだろうって。はっきりとした明確な料金もないし。やっと退院できると思ったあかつきには抗がん剤が控えていて、抗がん剤って1クールにつきいくらかかるんだろうって、未知の世界ですよね。

 

 手術が終わったとき、担当医から「とりあえず退院してみるかい」と言われたんです。「え?とりあえず退院してみるって、やっとおしっこの管も取れたし、何とかおしっこも自力でできるし、歩けるし、食欲もあるし、先生、退院じゃないんですか?」「言葉を濁さないではっきり言って。」って言ったら、「いや、抗がん剤があるんだよね。」って。「え?先生そんなこと言ってなかったっしょ!」って私言ったら、「いや、あのリンパに転移があってね、全身にね。」っていう話があって。「いや、とりあえず退院します。退院して家族と話し合ってからまた来ます。」って。で、看護師さんに聞いたら、「使う抗がん剤にもよるけど、お金かかるし、抗がん剤やめますっていう患者さんもいますよ。」っていう返事だったんですよ。・・・え?そんなにお金かかるの?

 

 家族に話をしたら、やっぱり生きていてもらいたいし、抗がん剤やろうって話になったんですけど、いったい私はいくらかかるのだろうって。

 「金じゃない」って周りの人は言うけど、「いや、お金です」って言うの、私はね。お金がないと、髪の毛抜けたってかつらも作れない。ウィッグも作ってもらったんですよ。医療用としてって領収書に書いてもらうと医療費控除になるけど、ただかつらを作ってもらうと医療費控除にならない。これ、盲点ですよね。そういうのも病院はきちんと教えてほしい。今はどうかわかりませんが、私が(手術を)やった200X年当時はウィッグを作ってもらった所で、「領収書を書きますけど、たとえ10万以上かかったと言っても医療用と書いてないと、医療費控除になりませんからね。」って教えてくれたんです。だから私知り合いで、がんの手術して抗がん剤で髪の毛抜けてっていったら、「かつら作るときに医療用としてって一筆入れてもらいなさいよ。」って言うんですよ。控除になるからねって。確かに社会保険事務所に行けば高額医療費何とかっていうあれはもらえますけど、そこまでは教えてくれませんよね。

 

 

(13)へつづく。